靴のせいか、体のせいか。まずここを分ける
歩き出して十分。かかとの後ろがヒリヒリしてきて、夕方には一歩ごとに顔が引きつる。靴を脱いだ瞬間の、あの解放感といったら。
ここで一度立ち止まって確かめてほしいことがあります。靴を脱いだら痛みは消えますか。
消えるなら、皮膚がこすれている痛み。赤くなる、皮がむける、水ぶくれができる。触ると表面がしみる。原因は靴と足のすき間、そして歩き方です。
裸足でも痛むなら話が変わります。朝起きて最初の一歩でかかとの底がズキッとする。座っていて立ち上がるときにつらい。指で押すと一点に響く。これは靴が引き金を引いただけで、火種は足の側にある状態。
両方が同時に起きている人も少なくありません。もともと足がつらいところへ、合わない靴が追い打ちをかけている。この場合、靴を替えるだけでは半分しか片づかない。
かかとが靴の中で浮く、その裏側
靴ずれの正体はこすれです。足が靴の中で前後に動くから、同じ場所が何百回とこすられる。
サイズが大きい、紐がゆるい。ここまでは誰でも思いつきます。私が現場で気になるのは、その先。
足首が硬い人は、歩くとき足の甲を上へ起こす動きが浅くなります。すると体が前へ進む途中でかかとが早く持ち上がる。靴はまだ地面に残っているのに、足だけ先に抜けていく。この時間差がこすれを生みます。
ふくらはぎが縮んでいる人も同じ。地面を蹴る手前でかかとが上がってしまう。ガチガチに固まった状態で長時間歩けば、皮膚がもつわけがない。
足の指が地面をつかめていない人は、すり足気味になり、着地のたびに足全体が前へ滑ります。かかと側にすき間ができて、そこを埋めるように動く。
以前、どの靴を買っても同じ場所が痛むと嘆いていた方がいました。靴のせいだと思い込んで何足も買い替えていた。歩き方を見せてもらったら、かかとの上がるタイミングが左右でまるで違う。買い替えでは追いつかない話でした。
当たっている位置で、原因が変わる
履き口の縁が食い込むタイプ。靴の背の高さと足首のくるぶし下の形が噛み合っていません。低めの履き口か、縁が柔らかい素材を選ぶと当たりが変わります。
かかとの後ろの真ん中、骨の出っ張りが痛むタイプ。靴の内部にある芯の硬い部分と、骨の一番出ている場所が正面衝突している状態です。硬さの位置は靴によってばらばらなので、履いたまま指で外から押して確かめると分かります。
内側や外側の縁だけがすり減るように痛むタイプ。靴の中で足が斜めに入っている、あるいは体重の乗せ方が片寄っている。左右で痛む位置が違う人は、ここを疑ってみてください。
かかとの底、地面に接する側が痛むタイプ。これは靴の当たりではなく足底側の話。伸ばす場所も対処も別になります。
今日と明日をしのぐ手当て
明日も同じ靴、という現実がありますよね。
こすれる場所へ保護用のテープやパッドを先に貼っておく。痛くなってからではなく、履く前に。皮膚が赤くなってからでは間に合いません。
厚みのある靴下に替えるだけでも、当たりが分散します。薄手のストッキングでこすれる人は、痛む側だけ薄い保護材を挟む手も。
同じ靴を連日履かない。これが地味に効きます。素材が湿ったまま翌日を迎えると、内側の形が崩れて当たりが強くなる。
出先で履き替える靴を一足持っていく人もいます。往復だけ別の靴にして、必要な場面だけ履き替える。荷物は増えるものの、翌週の自分が助かる。
水ぶくれができたら、つぶさないほうが皮膚は守られます。破れてしまった場合は清潔を保って覆う。ここから先で腫れや熱を持ってきたら、自分でどうにかしようとしないでください。
紐の締め方と中敷きで、靴は化ける
紐靴なら、いちばん上の穴の使い方を変えてみましょう。左右それぞれの上端で小さな輪を作り、反対側の紐先をその輪へ通してから締める。かかとが後ろへ引き寄せられて、上下の動きが減ります。ひと手間で歩き心地がふわっと変わる人は多い。
つま先側はゆるめ、足首に近い側をしっかり。全体を均一に締めるより、この配分のほうがかかとは落ち着きます。
中敷きを一枚足すのも手。足全体が少し持ち上がり、かかとの座りが深くなって履き口の当たり方が変わります。ただし詰めすぎると甲が圧迫されるので、薄いものから。
かかとの内側へ貼るパッドは、当たる骨の位置をずらす目的で使います。痛む場所そのものではなく、その上下へ貼って高さを変える。この使い方を知らない人が意外と多いんですよね。
新しい靴は、いきなり長時間履かない。近所を歩く程度から始めて、素材が足になじむ時間を作る。買った日にそのまま一日歩き回るのが、いちばん痛い目を見るパターンです(泣)
家でできるふくらはぎと足首の準備
壁に両手をついて片脚を後ろへ引き、かかとを床につけたまま体を前へ。後ろの脚のふくらはぎが伸びます。膝を伸ばしたまま二十秒ほど。
同じ姿勢で、今度は後ろの膝を軽く曲げる。伸びる場所がふくらはぎの奥、アキレス腱に近いほうへ移ります。ここが硬い人ほど、かかとの上がりが早い。
座って足首をゆっくり回す。円を描くというより、足の甲を起こす動きと伸ばす動きを丁寧に往復させるほうが変化が出ます。
床にボール状のものを置き、足の裏で転がす。強く押しつける必要はありません。体重をあずけすぎると翌日響きます。
足の指を一本ずつ開く、握る。靴の中で指が使えるようになると、着地のたびに足が前へ滑る量が減ってきます。
夜、風呂上がりに三分。それだけでも、朝の一歩目の感覚が違ってくることがある。
痛みが引かないときに考える線
こすれの痛みなら、原因を取り除けば皮膚は落ち着いていきます。逆に言えば、対処しているのに悪くなるなら別の話が混ざっている。
腫れが引かない。押していないのに痛む。熱を持っている。傷から膿が出てきた。しびれが足先まで広がる。朝の一歩目の激痛が何週間も続いている。かかとの後ろの出っ張りが赤く盛り上がってきた。こうした状態では、整形外科や皮膚科で確認してもらってください。
糖尿病などで足の感覚が鈍くなっている方は、自己判断で様子を見る期間を作らないほうが安全です。痛みが弱く感じられるぶん、気づいたときには進んでいることがあります。
靴が悪い。足が悪い。どちらか一方に決めつけると、たいてい遠回りになります。かかとが浮くから、こすれる。浮く理由は靴の形にもあるし、足首の動きにもある。両方から手をつけたときに、あの一歩目の身構えが消えていきます。
痛みが落ち着いた後も、ふくらはぎを伸ばす習慣は残しておいてください。あそこが縮んでくると、また同じ場所が擦れ始めますから。

コメント