側弯症と言われた。体幹を鍛えれば良くなるんじゃないか。
背骨が曲がっていると指摘されてから、自分でできることを探している。体幹トレーニングで背骨を支える力をつければ、側弯症が改善するかもしれない。そう期待している方がいる。一方で、トレーニングで悪化させないか不安に思っている方もいるはずだ。
側弯症と体幹トレーニングの関係には、正しく理解しておくべきことがある。
側弯症と体幹の関係
体幹が背骨を支える仕組み
体幹は、お腹・背中・骨盤まわりの筋肉の総称だ。腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋といった深層の筋肉が、背骨を内側から支えるコルセットのような役割を果たしている。
体幹の筋肉がしっかり働くことで、背骨が安定し・姿勢が保たれ・体の動きが支えられる。体幹はいわば、背骨という柱を支える土台のような存在だ。
この体幹の働きが、側弯症との関連で注目される。背骨を支える体幹の筋力・バランスが、側弯症の体にどう関わるのかが、体幹トレーニングを考えるうえでのポイントになる。
側弯症の体に起きている左右差
側弯症は、背骨が横方向に曲がり・ねじれを伴った状態だ。この曲がりによって、体幹の筋肉の使われ方に左右差が生じやすい。
背骨のカーブの内側にあたる筋肉は縮みやすく・外側にあたる筋肉は引き伸ばされやすい。この左右のアンバランスをそのままにすると、肩こり・腰痛・疲れやすさといった二次的な不調につながりやすいことがある。
側弯症の体は、左右で異なる状態を抱えている。この点が、体幹トレーニングを行ううえで配慮が必要な理由になる。
体幹トレーニングで側弯症は治るのか
構造性側弯症と体幹トレーニングの関係
正直に書く。構造性側弯症の背骨のカーブそのものを、体幹トレーニングで矯正できるとは言えない。
骨の構造・椎骨のねじれが生じている構造性側弯症は、筋肉を鍛えることで背骨の形が変わるものではない。体幹トレーニングで側弯症が治る、という表現は構造性側弯症に対しては誇張になる。
構造性側弯症の管理は医療機関が中心になる。進行のリスク・曲がりの程度に応じて、経過観察・装具療法・手術などの医学的な対応が選択される。
一方、筋肉のアンバランスや姿勢のクセによる機能性側弯症の場合は、原因となる要素が改善されることでカーブが変わる可能性がある。ただし自分がどちらのタイプかは医療機関での検査で判断される必要がある。
体幹トレーニングが果たせる役割
構造性側弯症であっても、体幹トレーニングが果たせる役割がある。
背骨のカーブそのものは変えられなくても、体幹の筋力を高め・背骨を支える力を育てることは、二次的な不調の軽減・姿勢の保持につながる可能性がある。側弯症のある体をより良く支える・使うことを目指すアプローチだ。
側弯症に対する特定の運動療法は、医療・リハビリの分野で研究されている。左右のアンバランスに配慮した運動が、状態の管理に役立つことがあるとされている。
体幹トレーニングは、側弯症を治すためではなく・側弯症のある体を支える力を育てるために行う、という位置づけで考えることが現実的だ。
側弯症の人が体幹トレーニングをするときの前提
医療機関・専門家の指導が前提
側弯症の人が体幹トレーニングを行うときは、医療機関・専門家の指導が前提になる。
自己判断でトレーニングを始める前に、医師に側弯症のタイプ・進行のリスク・運動の可否を確認することが最優先だ。何をしていいか・何を避けるべきかは、個人の側弯症の状態によって変わる。
側弯症に対する運動療法には専門的な知識が必要で、理学療法士など専門家の指導のもとで行うことが安全につながる。一般的な体幹トレーニングをそのまま側弯症の体に当てはめることには注意が必要だ。
左右のバランスへの配慮
側弯症の体は左右で状態が違うため、左右均等に行う一般的な体幹トレーニングがそのまま適切とは限らない。
縮んでいる側・引き伸ばされている側で、必要なアプローチが異なることがある。左右同じ負荷をかけることで・かえってアンバランスを強めてしまう可能性も指摘されている。
側弯症のカーブのパターンに合わせて・左右で異なる配慮をした運動が必要になることがある。これは専門家の評価のもとで判断されるべき部分だ。
側弯症で注意したい体幹トレーニングの考え方
避けた方がいい動き
側弯症の状態によっては、避けた方がいい動きがある。これは個人差が大きいため、必ず専門家に確認してほしい。
背骨に強い回旋・側屈の負荷をかける動き・片側だけに偏った負荷をかける動きは、側弯症の状態によっては注意が必要とされることがある。高重量で背骨に縦方向の負荷をかける動きも、慎重な判断が必要になる。
痛みが出る動き・体が大きく傾く動きも、その時点で中止することが大切だ。無理に続けることは体への負担になりかねない。
取り入れやすい動きの考え方
専門家の指導のもと・取り入れやすい体幹トレーニングの考え方がある。
体幹の深層の筋肉を働かせる・背骨に過度な負荷をかけない動きが、側弯症の体に配慮した運動として用いられることがある。腹式呼吸を意識して体幹のインナーマッスルを働かせる・四つん這いの姿勢で体幹を安定させる動きなどが、比較的負担の少ない運動として挙げられることがある。
ただし、これらも個人の側弯症のパターンによって適否が変わる。具体的なトレーニング内容は、必ず専門家の指導を受けて決めてほしい。自己流で判断することは避けるべきだ。
成長期の子どもの場合
成長期の子どもの側弯症は、特に慎重な対応が必要だ。
成長期は側弯症が進行しやすい時期とされ、背骨の状態が変化しやすい。この時期の運動・トレーニングは、進行のリスクを考慮した専門的な判断が欠かせない。
成長期の子どもの側弯症では、医療機関での定期的な経過観察が最優先になる。体幹トレーニングを含む運動を行う場合も、必ず医師の指導のもとで・進行の状態を確認しながら進めることが大切だ。
子どもが側弯症と診断されたら、自己判断で運動だけに頼らず・整形外科での管理を続けてほしい。
整体が側弯症に関われること
整体が側弯症に対してできることには範囲がある。正直に整理する。
整体で構造性側弯症の背骨のカーブそのものを矯正することはできない。骨の構造・ねじれを施術で変えることはできない。
整体が関われるのは、側弯症に伴う二次的な不調へのアプローチだ。背骨のカーブによって生じた筋肉のアンバランス・過緊張をゆるめることで、肩こり・腰痛・疲れやすさといった二次的な不調が軽減されることがある。
体幹トレーニングで背骨を支える力を育てることと・整体で筋肉のアンバランスを整えることは、医療機関での管理を前提としたうえで・組み合わせられる可能性がある。ただしいずれも医療の代わりにはならない。医療機関での評価・管理を中心に据えることが大前提だ。
日常で意識したいこと
側弯症がある人が日常で意識したいことがある。ただし運動・ケアの内容は必ず専門家に確認してほしい。
体の左右のバランスを意識することが助けになる。荷物をいつも同じ側で持つ・片側に重心をかけて立つ・足を組むといった偏った習慣は、筋肉のアンバランスを助長しやすい。左右均等を意識することが二次的な不調の予防につながる。
体幹を意識する習慣も助けになる。腹式呼吸を意識する・背筋を保つ意識を持つことが、背骨を支える力を日常の中で育てることにつながる可能性がある。
長時間同じ姿勢を続けないことも大切だ。こまめに体を動かす習慣が、特定の筋肉への負担の偏りを減らしやすくする。
定期的な医療機関での評価を続けることが最も大切だ。特に成長期の側弯症は進行のリスクがあるため、自己判断で運動・トレーニングだけに頼らず・医療機関での経過観察を続けてほしい。
側弯症は、医療機関での管理を中心に据えながら・体幹トレーニングやケアを補助的に組み合わせていくことが現実的なアプローチになる。背骨のカーブを治すことより・カーブのある体を支える力を育て・より良く付き合っていくこと。その視点が側弯症と長く向き合ううえで助けになる。

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