内側上顆。ないそくじょうか。
肘の内側が痛くて調べていたがでもそれがどこなのか・何なのかピンと来ていない。
内側上顆は、肘の痛みを理解するうえで欠かせない場所だ。どこにあるのか・何の役割をしているのか・なぜそこが痛くなるのかを、整体師の視点からわかりやすく整理していく。
内側上顆とはどこにあるのか
肘の内側上顆の場所と確認方法
内側上顆は、上腕骨の肘に近い部分の内側にある、骨の出っ張りだ。
自分の体で確認してみてほしい。腕を前に伸ばし、手のひらを上に向ける。そのとき肘の内側、つまり体側に近い方を触ると、ポコッとした骨の出っ張りが見つかる。それが内側上顆だ。
反対側、肘の外側にも同じような出っ張りがある。こちらは外側上顆と呼ばれる。肘には内側と外側、両方に骨の出っ張りがあり、それぞれに異なる筋肉が付着している。
いわゆる肘をぶつけたときにビリッと電気が走る場所は、内側上顆のすぐ近くにある。内側上顆の後ろ側には尺骨神経という神経が通っており、ここをぶつけると指先までしびれが走る。あの独特なジーンとした感覚を経験したことがある方なら、内側上顆の位置がイメージしやすいはずだ。
膝にもある内側上顆
実は、内側上顆という名前の場所は膝にもある。
大腿骨、つまり太ももの骨の膝に近い部分の内側にも、内側上顆と呼ばれる骨の出っ張りが存在する。膝の内側の靭帯などが付着する場所だ。
ただし、一般的に内側上顆という言葉が使われるとき・痛みの文脈で検索されるときは、肘の内側上顆を指していることがほとんどだ。この記事でも肘の内側上顆を中心に解説していく。
内側上顆の役割
前腕の筋肉が集まる付着部
内側上顆は、ただの骨の出っ張りではない。前腕の重要な筋肉たちが集まって付着する、いわば筋肉のターミナルのような場所だ。
内側上顆には、手首を手のひら側に曲げる筋肉・指を握り込む筋肉・前腕を内側にひねる筋肉の腱が付着している。物を握る・手首を曲げる・腕をひねる。日常のあらゆる手の動作で、内側上顆に付着する筋肉たちが働いている。
つまり、手や手首を使えば使うほど、内側上顆の付着部には引っ張る力がかかり続ける。この構造が、内側上顆が痛みの発生地点になりやすい理由につながっていく。
内側上顆が痛くなる原因
内側上顆炎とは
内側上顆の痛みで最も多いのが、内側上顆炎と呼ばれる状態だ。ゴルフ肘・ゴルファー肘という呼び名でも知られている。
手首を曲げる・握る動作の繰り返しによって、内側上顆に付着する腱に微細な損傷・変性が蓄積し、炎症・痛みが生じる。肘の内側を押すと痛い・物を握ると肘の内側に痛みが走る・手首を曲げる動作で痛む。これらが典型的な症状だ。
ゴルフ肘と呼ばれるのは、ゴルフのスイングで手首を返す動作が内側上顆への負荷になりやすいためだ。ただし、テニス肘と同じく、ゴルフをしていない人にも多く起きる。
テニス肘との違い
内側上顆炎とテニス肘は、肘のどちら側が痛むかが違う。
テニス肘は正式には外側上顆炎で、肘の外側にある外側上顆の付着部に炎症が起きた状態だ。手首を反らせる筋肉の使いすぎが原因になりやすい。
内側上顆炎は肘の内側で、手首を曲げる・握る筋肉の使いすぎが原因になりやすい。
肘の外側が痛いならテニス肘・内側が痛いならゴルフ肘、と覚えるとわかりやすい。どちらも仕組みは似ていて、付着部の腱への繰り返しの負荷が原因という点で共通している。
内側上顆炎が起きやすい人
ゴルフをする方はもちろんだが、それ以外にも内側上顆炎が起きやすい状況がある。
手首を曲げる・強く握る動作を繰り返す仕事をしている方。大工仕事・調理・介護・荷物の運搬・タイピングなど、手をよく使う職業の方に起きやすい。
野球の投球動作も内側上顆への負荷が大きい。特に成長期の子どもでは、投球の繰り返しによって内側上顆の成長線に障害が起きることがあり、野球肘の内側型として知られている。子どもの肘の内側の痛みは、大人とは別の注意が必要だ。
前腕の筋肉が慢性的に疲弊・硬化している方も起きやすい。筋肉の柔軟性が低下すると、腱への引っ張る力が増し・付着部への負荷が蓄積しやすくなる。
内側上顆の痛みへの対処
整体でのアプローチ
医療機関での確認を前提としたうえで、整体が内側上顆の痛みに関われる部分がある。
内側上顆炎の背景には、前腕の屈筋群の慢性的な緊張・硬化があることが多い。整体ではこの固まった前腕の筋肉・筋膜をゆるめることで、内側上顆の付着部への引っ張る力を軽減させやすくする。施術後に前腕がふわっと軽くなった・握る動作が楽になった、という変化を感じる方がいる。
肘・手首・肩のアライメント、肩甲骨の動き、体全体の連動を整えることも、肘への負荷の偏りを変えるアプローチになる。手や肘の使いすぎの背景に、体全体の使い方のアンバランスが隠れていることは珍しくない。
炎症が強い急性期は患部への強い刺激を避け、状態に合わせた繊細なアプローチが必要になる。
日常でできるアプローチ
内側上顆の痛みがある方・予防したい方が日常でできることがある。
前腕の屈筋群のストレッチを習慣にすることが直接的なアプローチになる。腕を前に伸ばして手のひらを上に向け、反対の手で指をつかんで手首をゆっくり反らせる。前腕の内側、肘の内側に向かってじんわり伸びを感じたら20〜30秒保つ。左右各2〜3セット。入浴後など体が温まったタイミングで行うと変化が出やすい。
強く握り続けるクセを見直すことも助けになる。ペン・マウス・工具・ゴルフクラブを必要以上に強く握っていないか、日常の中で意識的に確認してみてほしい。握る力をふっと抜く瞬間をつくるだけで、前腕への慢性的な負荷が変わってくる。
手をよく使った日は、前腕を温めることが筋肉の回復を助けやすい。入浴で腕までしっかり湯に浸かる・蒸しタオルで前腕を温めるといったケアが、疲労の蓄積を減らしやすくする。
炎症が強い時期は逆に、使った直後に冷やすことが炎症を穏やかにしやすい。タオルに包んだ保冷剤を15〜20分、肘の内側に当てる対処が合いやすい。
内側上顆は、手を使う生活を支え続けてくれている縁の下の力持ちのような場所だ。その場所と役割を知ることが、肘の痛みと正しく向き合う第一歩になる。

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