仰向けだと寝つけない。横向きが一番落ち着くのに、その横向きで肩が痛む。 夜中にズシッと来て目が覚め、ゴロンと反対を向いて、またしばらくして目が覚める。朝には肩だけがぐったり…。
横向きで痛むと一言で言っても、下になった肩なのか、上になった肩なのかで話がまるで違います。 まずどちらなのかを決めるところから。それだけで、今夜やることが変わります。
横向きの肩には、二種類の負担がかかる
下になった肩は、体重で床へ押しつけられています。肩の前側の空間が狭くなり、腕の骨の頭が前へ押し込まれる形。 何時間もこの状態が続けば、痛みが出ても不思議はありません。
上になった肩は、逆に前へ落ちていきます。腕の重さで肩が内側へ巻き込まれ、後ろ側が引き伸ばされたまま朝を迎える。 日中から肩が前へ入り込んでいる方は、この形が夜も続くことになる。
同じ横向きでも、圧迫される側と引っ張られる側。対処が違うのは、この構造のせいです。
下になった肩が痛い場合
体重を肩の関節そのもので受けているのが原因。ここを、肩甲骨の後ろ側で受ける形に変えます。
横向きになったら、下の肩を少し前へ引き出す。体をわずかに後ろへ傾けて、肩の関節ではなく背中側で床を捉える感覚。 肩を体の下から抜く、と表現すると伝わりやすい。このひと手間で、翌朝の重さが違ってきます。
枕の高さも関係します。低いと頭が落ちて、その分だけ肩に体重が集中する。ここは後で詳しく。
痛む側を下にするのが習慣なら、しばらく反対側で眠る工夫を。抱き枕を背中側に置くと、寝返りで戻ってしまうのを防げます。
上になった肩が痛い場合
腕の重さが肩を前へ引きずり落としている状態。腕の置き場を作れば解決に近づきます。
上の腕を抱き枕やクッションの上に乗せて、肩が前へ落ちない高さを確保する。肘から手首までが支えられていると、肩の力が抜けます。 抱き枕がなければ、掛け布団を細長くたたんで胸の前に置く形でも代用できます。
もう一つ、上の脚も同じ。脚が前へ落ちると骨盤が回り、背中がねじれて肩の位置まで変わります。膝の間にもクッションを一つ。
上の肩が痛む方は、日中の姿勢を見直す価値が高い。夜だけの問題ではないことが多いので。
枕の高さは、肩幅で決まる
横向きでは、肩の幅の分だけ頭と床の間に空間ができます。仰向けの高さで横を向くと、頭が下がって首が折れ、下の肩に体重が寄る。
目安は、横向きになった時に首の骨が背骨とまっすぐ続くこと。鏡の前でやるか、家族に見てもらうと分かりやすい。 今の枕が低いなら、バスタオルを折って足す。高すぎるなら一枚抜く。数日おきに調整して、朝の首と肩で判断します。
横向きと仰向けの両方で眠る方は、両立が難しい。中央が低く両端が高い形の枕は、その悩みへの一つの答えですが、合う合わないは体つき次第。試してから決めたい。
腕の置き場を決めておく
横向きで腕をどこに置くか。ここを決めていない方が多い。
下の腕は、体の前へ出す。枕の下に手を入れる癖は、肩を前へ押し込んで夜通し固定するので避けたい。 上の腕は、前述の通りクッションの上へ。体の上に乗せたままだと、胸を圧迫して呼吸まで浅くなります。
腕を頭の上へ上げて寝る癖がある方は、朝の痛みが出やすい。肩の前側が引き伸ばされ続けます。抱き枕を使うと腕の置き場ができて、自然と上がりにくくなる。
敷き寝具が硬すぎると、肩が逃げられない
横向きでは、肩と腰が敷き寝具に強く当たります。硬すぎる床では肩が沈めず、圧が一点に集まる。 逆に柔らかすぎると、肩が沈みすぎて背骨が曲がり、寝返りにも力が要ります。
畳や硬い床に薄い布団で寝ている方は、肩の下にだけ薄いタオルを重ねる工夫でも変わる。 マットレスの上に、肩の位置だけ柔らかいパッドを足す方法もあります。
寝返りが打てているかも見ておきたい。腕の力を使わずにゴロンと転がれる環境なら、同じ姿勢が長く続かず、肩への圧も分散します。
夜だけ痛むように見えて、原因は日中にある
横向きで痛む肩の多くは、昼間にすでに負担が積み上がっています。 デスクで肩が前へ入り込む。スマホで腕を固定する。カバンを同じ肩にかける。この状態の肩を、夜に体重で押しつけているわけです。
肩甲骨が動かない方ほど、横向きの痛みが強く出る。腕は肩甲骨からぶら下がっているので、土台が固まると、先端はどの向きに寝ても窮屈になります。
寝方の工夫で楽になっても、日中を変えないと戻ります。ここは覚えておいてほしい。
受診を考えるサイン
・寝方を工夫しても、夜中に痛みで目が覚める状態が続く ・腕が上がらない、動かせる範囲が週を追って狭くなっている ・転倒やぶつけた後から始まった ・しびれ、手の力が入りにくい ・肩の前が腫れている、熱を持っている ・じっとしていても痛む、痛みが日ごとに強くなる
とくに、動かせる範囲が縮んでいくパターンと、安静時にも痛む状態は、寝方の問題では片付きません。整形外科で状態を確認してから、寝方の話へ戻る方が早い。
やらない方がいい寝方
痛む肩を下にして我慢する。 腕を頭の上へ上げたまま眠る。 枕の下に手を入れる。 うつ伏せで、顔を横に向けて肩を捻ったまま寝る。
どれも、その場は落ち着くのに朝に請求が来る寝方。一晩で癖は変わらないので、抱き枕やクッションで物理的に防ぐのが現実的です(泣)。
日中に入れておく三つの動き
肩をすくめて落とす、寄せて離す。肩甲骨を背中で動かす感覚を取り戻す。 椅子の背もたれに背中の上部を当てて、息を吐きながら軽く胸を開く。前へ入り込んだ肩が戻る。 丸めたタオルを脇に挟み、肘を体につけたまま前腕を外へ開く。肩の奥の筋肉が働くと、腕の骨の頭が収まりやすくなります。
どれも一分以内。寝る前にこの三つを入れると、横向きになった時の肩の収まりが違うはずです。
変わり方には、順番がある
先に変わるのは、夜中に目が覚める回数。次に、朝の重さ。痛みが消えるのは最後です。
寝方と枕を変えて数日、目が覚める回数が減っていれば方向は合っています。 二週間ほど続けても変化がない、あるいは日中の痛みが強くなってきた場合は、寝方の範囲を超えている合図。
横向きで眠る習慣を変える必要はありません。 変えるのは、肩の置き方と腕の置き場、そして頭の高さ。今夜、下の肩を少し前へ引き出すところから試してみてください。

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