朝起き上がるとき、腰をひねるとき、前屈みになるとき。ゴリゴリ、ボキボキ、ザラザラ。腰のあたりから音が出る。
痛みはそれほどないこともある。でも音が出るたびに、何か悪いことが起きているんじゃないかと不安になる。骨が当たっているのか、軟骨が擦れているのか、そのまま放置してもいいのか判断できない…。腰の音が出る原因はひとつではなく、放置していいものとそうでないものがある。
腰のゴリゴリ音とは何か
音が出る仕組みの種類
腰から音が出る仕組みはいくつかに分けられる。
関節内のキャビテーション音は、関節を動かしたときに関節液の中に生じる気泡が弾ける音だ。いわゆるポキッという音で、これ自体が関節を傷める原因になるとは考えられていない。ただし繰り返し同じ部位を鳴らし続けることへの影響については、まだ研究が続いている部分がある。
筋肉・腱・筋膜の摩擦音は、筋肉や腱が骨・他の筋肉の上を滑るときに出る音だ。ゴリゴリ・ザラザラとした感触を伴う音として出やすく、筋肉・筋膜の緊張や癒着が関与していることが多い。
軟骨・椎間板への負荷による音もある。椎間板の変性・軟骨の摩耗が進むと、関節の動きに伴う音として現れやすくなることがある。
ゴリゴリ・ザリザリとした摩擦感を伴う音は筋肉・筋膜の関与が多く、コリっとしたポキッという音は関節のキャビテーションの関与が多い傾向がある。ただし音だけで正確な原因を特定することはできないため、痛みの有無・いつ出るか・どの動作で出るかを合わせて判断することが大切だ。
音が出る部位で変わる原因
腰のどのあたりから音が出るかによって、関与している組織の候補が変わる。
腰の中央・背骨のあたりから出る場合は、腰椎の関節・椎間板への負荷が関係しやすい。前屈み・ひねり動作で出やすい場合はこのタイプの可能性がある。
腰の横・側面あたりから出る場合は、腰方形筋・中殿筋まわりの筋肉・腱の摩擦が関与しやすい。片側だけから音が出る方に多いパターンだ。
腰の下部・お尻との境目あたりから出る場合は、仙腸関節・梨状筋まわりが関与しやすい。長時間座った後に立ち上がるときに音が出やすい方はこのタイプの可能性がある。
腰のゴリゴリ音の主な原因
筋肉・筋膜の緊張と癒着
腰のゴリゴリ音で最も多く関与しているのが、筋肉と筋膜の緊張・癒着だ。
脊柱起立筋・腰方形筋・多裂筋などの腰まわりの筋肉が慢性的に緊張した状態では、筋肉・腱が骨や他の組織の上をスムーズに滑りにくくなる。この滑りの悪さがゴリゴリ・ザラザラとした音として現れやすくなる。
筋膜の癒着も音の原因として関与しやすい。長年の姿勢のクセ・慢性的な筋肉の緊張で筋膜が癒着すると、体を動かすたびに癒着部分が引き剥がされるような動きが生じ、音として感じられることがある。
デスクワーク・同じ姿勢が長時間続く生活で腰まわりの筋肉が固まりやすい状態が続くと、このタイプの音が出やすくなる。
関節の可動域の低下
腰椎・仙腸関節の可動域が低下した状態では、体を動かしたときの関節の動き方が変わりやすくなる。
本来なめらかに動けるはずの関節が固まることで、動作時に引っかかりやガタツキが生じやすくなる。この引っかかりが音として現れることがある。
長年の姿勢のクセ・腰痛をかばう動作パターン・運動不足による関節の動きの減少が、腰椎・仙腸関節の可動域低下をつくりやすい。
体全体のアンバランス
腰の音の背景に、体全体のアンバランスが関与していることがある。
骨盤の傾き・脊椎の側弯・股関節の可動域の低下が腰椎への負荷の偏りをつくり、特定の部位に繰り返しの摩耗・引っかかりが生じやすくなる。片側だけから音が出やすい方は、体の左右差・重心の偏りが関与している可能性がある。
音が出ても問題ないケース・注意が必要なケース
放置してよいサイン
以下の状態なら、音が出ていても緊急性が高いとは考えにくい。
音が出るが痛みはない・または軽微な重だるさ程度の状態。特定の動作でのみ音が出るが日常生活への支障が少ない状態。音が出た後に逆に楽になる感覚がある状態。
ただし放置が問題ないということは、そのままの状態が理想的という意味ではない。音が出るということは体のどこかにアンバランスがあるサインであり、セルフケア・整体でのアプローチを合わせることで状態が変わっていくことがある。
整体でのアプローチ
筋肉・筋膜の緊張をゆるめる
整体で腰の音にアプローチするとき、腰まわりの筋肉と筋膜の緊張をゆるめることが中心になりやすい。
脊柱起立筋・腰方形筋・多裂筋の慢性的な緊張をゆるめ、筋肉・腱の滑りを回復させていく。筋膜の癒着にアプローチすることで、体を動かしたときの引っかかりが軽減されやすくなる可能性がある。
施術後に腰を動かしたときの音が変わった・動きがなめらかになった、という変化を感じる方がいる。固まっていた腰まわりがほぐれていくときの、あのじわっとした解放感だ。
腰椎・骨盤のバランスを整える
腰椎・仙腸関節の可動域を引き出すアプローチも、腰の音の変化につながることがある。
固まった関節の動きを引き出すことで、動作時の引っかかり・ガタツキが変わりやすくなる。骨盤のバランスを整えることで腰椎への負荷の偏りが変わり、特定の部位への繰り返しの負担が分散されやすくなる。
体全体のアンバランスを見ながら施術を組み立てることで、腰だけを見るアプローチより変化が深くなりやすい。
腰の音を減らしていくための日常アプローチ
腰まわりのストレッチを習慣にすることが直接的なアプローチになる。
股関節・腰まわりのストレッチとして、仰向けに寝て膝を胸に引き寄せる動作を左右各20〜30秒行う。腰まわりの筋肉が伸ばされ・仙腸関節への動きが入りやすくなる。入浴後など体が温まったタイミングで行うと変化が出やすい。
体幹の安定を高めることも腰への負担を変えるアプローチになる。腹式呼吸を意識する習慣が体幹のインナーマッスルの働きを引き出しやすくし、腰椎を安定させる力が生まれやすくなる。
長時間同じ姿勢を続けないことも助けになる。30〜60分に一度立ち上がり、腰を軽くひねる・股関節を動かす動作を取り入れることで腰まわりの筋肉の緊張の蓄積が変わりやすくなる。
歩き方を確認することも腰の状態に関係する。うつむいて歩く・片側に重心が偏る歩き方のクセがある場合、腰への負担の偏りが積み重なりやすい。両足に均等に体重をかける意識を持つことが、腰への慢性的な負担を変えていく。
腰の音はすぐに消えるものではないが、体の状態が変わるにつれて少しずつ変化していくことがある。整体と日常のケアを組み合わせながら、腰まわりの状態を底上げしていくことが現実的なアプローチになる。

コメント