走り出して数キロ、足首の外側がじわりと痛みはじめる。走り終えたあと、じんじんと熱を持って腫れぼったい。翌朝、階段を下りるときにズキッときて、思わず手すりをつかむ。
走るのが楽しくなってきた矢先に、こういう痛みは本当にこたえます。休むべきなのか、それとも我慢して続けていいのか。判断がつかないまま、とりあえず走り続けてしまう人が多いところでもあります。
足首は、着地のたびに体重の何倍もの衝撃を受け止めています。しかも走行中、そのやりとりは何千回とくり返される。小さな無理が積もりやすい場所なんです。まずは、どこがどう痛むのかを整理するところから始めましょう。
痛む場所で、見当が変わる
ひと口に足首の痛みといっても、どこが痛いかで話は違ってきます。自分の指で、痛む一点をたどってみてください。
外くるぶしのまわりなら、過去のねんざが尾を引いていることがあります。ぐねっと足首をひねった記憶、ありませんか。しっかり治しきらないまま走り続けていると、そのあたりが不安定なまま負担を受け続けます。
内くるぶしの下から、土踏まずのほうへ抜ける痛み。ここは、足のアーチを支える腱が働いている場所です。着地のたびに土踏まずが落ち込む走り方だと、この腱が引っぱられ続けます。
かかとの少し上、アキレス腱のあたり。走り出しに突っ張り、朝いちばんに硬い。距離を急に伸ばしたあとから出てきやすいところです。
足首の前側が、しゃがんだときに詰まるように痛む。こちらは、関節の前で組織が挟み込まれているような状態のことも。
もちろん、これは見当をつけるための手がかりにすぎません。中で何が起きているかは、外から触れただけでは分からない。
走ると痛む、その引き金
いちばん多いのは、増やしすぎです。距離、ペース、頻度。どれかを急に上げると、足首はついてこられません。体力が先に伸びて、腱や関節がその変化に追いつかない。この時間差が、痛みを呼び込みます。
走る場所の影響も見逃せません。かたいアスファルトばかり、あるいは傾いた路肩を同じ向きで走り続ける。左右のかかる力が偏り、片側の足首だけが余計に働くことになります。
シューズも大きい。すり減ったソール、足に合っていない形。クッションが役目を終えたシューズで走り続ければ、衝撃はそのまま足首へ届きます。買い替えのタイミングは、思っているより早めに来るものです。
体のかたさや、足首まわりの弱さも背景にあります。ふくらはぎが縮こまっていれば、足首の動く範囲は狭くなる。すると、足りない動きを別の場所が肩代わりして、無理が生まれます。
そして、古いねんざ。ここは本当に多い。きちんと戻しきらないまま走りに戻った足首は、ぐらつきを抱えたまま何千回もの着地をこなすことになります。
走り始めた人ほど、痛めやすい理由
走るのが習慣になってきた頃。ちょうど楽しくなってきたタイミングで、足首が悲鳴をあげる。この時期に相談へ来る人が、いちばん多いんです。
理由はシンプルで、心肺と脚の育つ速さがそろわないから。息が上がらなくなると、もっと走れる気がしてきます。実際、体力の面では走れてしまう。でも、腱や関節がその変化に追いつくには、もう少し時間が要るんですよね。
久しぶりに走りを再開した人も同じ。頭の中には、走れていた頃の自分がいます。あの頃はこのくらい平気だった、と当時の感覚で走り出すと、足首だけが置いてけぼりに。えっ、こんなはずじゃ…となる。
だからこそ、走れる気がするときこそ抑えめに。物足りないくらいで切り上げる勇気が、結果として長く走らせてくれます。
走っていい痛み、休むべき痛み
走り出しに違和感があって、温まるにつれ消えていく。走ったあとも尾を引かない。この程度なら、様子を見ながら距離を控えめにして続けられることが多い。
いっぽう、走るほど強くなる痛みは黄色信号です。走り終えたあとも痛みが続く。翌朝、階段や歩行でも痛む。かばうようなフォームになっている。こうなったら、その日の走りは切り上げてください。
そして赤信号。腫れている、熱を持っている。体重をかけられない。押すと一点だけ激しく響く。しびれがある。ぐねった瞬間に音がした。ここまで来たら、走る走らないの話ではありません。早めに整形外科などで診てもらってください。
痛みを押して走り続けるのが、いちばん遠回りです。数日休めば済んだものが、数か月の付き合いになる。
痛みが出たあと、どう過ごすか
まず、走るのをいったん止めること。当たり前に聞こえますが、これがいちばん難しいんですよね。せっかく続いていたのに、と焦る気持ちはよく分かります。
腫れや熱があるうちは、冷やして、脚を高くして休ませる。この時期に湯船でじっくり温めたり、痛むところを強く押し込んだりするのは避けてください。よかれと思ってやったことで、かえって長引くことがあります。
走れない期間も、まったく動かないでいる必要はありません。足首に負担のかからない形で体を動かせば、走る力は保てます。水の中で歩く、自転車をこぐ。どこまでやっていいかは、診てもらった医療機関の判断に沿って決めてください。
休むと積み上げたものが崩れる、という心配もよく聞きます。でも、数日から数週間の休みで、それまでの走りが白紙に戻ることはありません。むしろ痛みを抱えたまま走り続けて、長期離脱するほうが失うものは大きい。今は貯金を守る時間だと考えてみてください。
走りへ戻る、その順番
痛みが消えたから明日から元どおり。これで再発する人が、本当に多いんです。
現実的な順番はこうです。まず、日常で普通に歩けること。次に、速歩きをしても響かないこと。そこから、短い距離をゆっくり走ってみる。問題がなければ距離を少しずつ足し、そのあとでペースを上げる。坂道や不整地は、いちばん最後に。
ひとつの段階で痛みが顔を出したら、無理に進まず、ひとつ前へ戻る。この引き返す判断ができる人ほど、結果的に早く戻っていきます。急がば回れ、とはよく言ったものです。
繰り返さない足首をつくる
戻ってからが本番です。整体でお手伝いできるのも、ここから。ケガへの処置ではなく、着地の衝撃を足首だけに背負わせない体へ整えていく方向で。
土台になるのは、足首まわりのしなやかさと、ぐらつかない安定感です。ふくらはぎがやわらかければ、足首は本来の範囲で動けます。片足で立ったときにふらつかないなら、着地のたびに関節が余計に揺さぶられずにすむ。
股関節やお尻の働きも関わってきます。上のほうで支えきれないと、そのしわ寄せは下へ流れ、足首が引き受けることになる。足首の痛みなのに、目を向ける先が足首だけとは限らないわけです。
日々の走り方も見直しどころ。距離を一気に増やさない。同じ路面ばかり走らない。シューズの寿命を意識する。走る前に体を温め、走ったあとに脚をいたわる。地味な積み重ねが、足首を守ってくれます!
足首の痛みは、走り方や体の使い方を見直すきっかけでもあります。焦って押し切るより、いったん立ち止まって整えたほうが、そのあと長く走り続けられる。せっかく好きになったランニングと、気持ちよく付き合っていきましょう。

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